近年、メディアで取り上げられることも多くなった長野県小布施の栗菓子ですが、私たち栗庵風味堂の創業は1864年にさかのぼります。周囲には私たちだけでなく、計7軒もの栗菓子店が集まっていますので、県内でも小布施=栗菓子というイメージをお持ちの方は多いかもしれません。
私たちが何より大切にしているのは、地域との共生です。原材料はできる限り地域から調達していますし、原則として小売りも長野県内のみで行うようにするなど、顔が見える距離感を守っていきたいと思っています。「和菓子大好きフォトコンテスト」の開催や、店内に併設した「CAFE SAKU G」なども、お客様との接点を増やすための工夫の一つです。
私たちのような地域から生まれたメーカーは、地域を活性化させることが大切な使命でもあり、事業規模の拡大だけが重要ではないと考えています。
Webサイトを制作してちょうど10年ぐらいになります。試行錯誤の連続で、既にリニューアルを4回しています。インターネットで通販もやっているので、個人のお客様もWebサイトを訪れてくださっていますが、業者の方も検討段階でWebサイトをご覧になっているケースが増えてきたように思います。紙のカタログの代わりになっている部分はありますね。
こだわっていると言えば、商品の写真でしょうか。いかに美味しそうに、いかに魅力的に見せるか。それによって、商品の印象が変わりますからね。いまのお客様は、そういうシズル感(臨場感)についても目が肥えているので、写真一枚でも気を抜かないようにしています。
また、Facebookとの連携やメールマガジンなども活用しています。Facebookではクーポンの発行のほか、スタッフが定期的にコメントをアップしたりしています。何かしらアクションを起こすと、すぐにアクセス数や売上に反映されるのがWebの特徴だと思います。
ドメイン名は「fumido.co.jp」をずっと使っています。ご存じの方も多いと思いますが、実はまったく同じ「風味堂」という名前のバンドグループがいて、あちらは「fumido.jp」をお使いになっているんです。以前、私たちの代表アドレスに間違いメールが届いたことがあったんです。「ライブ頑張ってください!」っていう内容の(笑)。そこで、あちらのマネージャーさんに連絡を入れたら話が弾み、私たちの栗菓子をバンドで全国を巡る際に配ってくださったんです(笑)。ドメイン名がきっかけになった、風味堂と風味堂の出会いでした。
「co.jp」ドメイン名にしたのは、私たちが法人だったからなんですが、「nagano.jp」がその当時からあれば、もちろんそれも選択肢になったでしょうね。特に長野県内でしか販売をしていない私たちにとって、「長野産のお菓子」というのは大きなメッセージになりますから。
小布施に暮らしている人にとっては、まず愛着があるのは「小布施」という地名だと思います。長野は大きな県なので、エリアごとに文化や特徴が違う面もある。だから、それぞれの地域への愛が、すぐに長野県への愛に結びつかない人も、いまはまだ多いかもしれません。
そういう時だからこそ、「都道府県型JPドメイン名」で県が一体となるのはいい機会でもありますね。「和菓子.nagano.jp」だったり「りんご.nagano.jp」だったり、早いうちでないと取得できないドメイン名も少なくないのではないでしょうか。
個人的には農業や観光業に携わっている組織には、特に「都道府県型JPドメイン名」というサービスは向いている気がします。小布施町の観光協会や、商工会議所の青年部メンバーでもありますので、これからWebサイトの導入を考えている人には教えてあげようかと思っています。
元治元年(1864年)創業の栗菓子店「栗庵風味堂」5代目。栗菓子をはじめとする商品の企画・開発から、パッケージのデザイン、自社Webサイトのデザインまで自身で行う。町の観光協会の理事として地域振興の役割を担うなど、地域に根差した活動も行っている。
栗庵風味堂 http://www.fumido.co.jp/
※インタビュー特集の記事内容は2012年9月時点のものです。