秋田にはいくつもの伝統工芸品があるのですが、ここ角館は「樺細工」という桜の皮を使った工芸品の指定地域になっています。私どもの会社では、この「樺細工」の製造・卸を30数年前から行ってきました。もちろん商売ですから、より多くのいい品を全国各地に卸すことが第一ですが、同時にこの地域がずっと大切にしてきた伝統を守るというのも、私どもの役割だと思っています。
一方で、「樺細工」を中心としつつも、金属や布の作家さんと交流をしながら、アクセサリーや衣類なども含めた、広範囲な品物を直接ご覧いただける直営店舗の経営もしています。
メーカーとしては、全国の百貨店や小売店をはじめ、見本市・物産展のようなところにも頻繁に顔を出していますが、ショップとしてはこの地で待つほかありません。できる限り、実際に作品を手に取って、お気に入りの物と出会ってほしいと思いながら運営しています。
メーカーである「冨岡商店」と、ショップである「アート&クラフト香月」の二つの顔を持っていますので、Webサイトも二つ持っています。メーカーのWebサイトは、主に販売店様向けです。新規の取引先でも「樺細工とは何か?」が分かるように、歴史や手法を説明したページも用意してあります。ショップのWebサイトは、商品の紹介と販売がメインです。エンドユーザーとの貴重な接点ですので、大切にしています。
どちらのWebサイトも何度かリニューアルしていますが、特にショップの方は商品紹介を充実させているため、実際の店舗との相乗効果は大きい気がします。事前にサイトを見て、そのあと来店されるようなお客さまも多いですね。ただ、ビジネスが拡大してきたことで、実はWebサイトのあり方にも影響は出てきています。ブランドが二つある現状を、どう整理していくのか。それによってWebサイトの方も整理する必要があると思っています。
メーカーのWebサイトは「tomioka-shoten.co.jp」で、ショップのWebサイトは「ac-kazuki.jp」です。どちらも「.jp」を選んだのは、セキュリティ面も、安定性も、とにかく安心だと詳しい知人に勧められたからです。確かに、ドメイン名で問題を感じたことは一度もないので、正解だったと思います。
新しくWebサイトのドメイン名に「akita」が使えるようになったというのは、正直言ってとても魅力的ですね。というのも、見本市などで商品を紹介する際に「秋田産」だと説明することが多いんですね。ドメイン名から即座に「秋田産」だと伝わるのでスピード感が増し、大きなメリットになるのではないでしょうか。また、最近では海外のメーカーや店舗との取引も飛躍的に増えています。「made in 日本」であるだけでなく、「made in 秋田」であることを伝えるのも役割の一つだと思っています。
また、繰り返しになりますが、最終的にはこの角館という土地に来てほしい。「樺細工」と聞いたらすぐに「秋田」「角館」が思い出されるのが理想ですよね。
いま私は、本業とは別に秋田県クラフト協会の代表や、観光協会の理事なども任されています。思うのは、やはり秋田県人としての地元への愛着ですね。この土地があってのこの仕事、という想いは非常に強く持っています。私自身、東京にいた時期もあったのですが、やはり離れてみて分かる地元の良さもありました。ですから、Webサイトのドメイン名一つひとつでも「akita」の文字が増えていくことには大賛成です。私たちのような工芸の世界だけでなく、他の分野でも活用できるように思います。
今後、どのようにWebサイトでのコミュニケーション、プロモーションを強化していくかは思案中ですが、新しいサイトを立ち上げる際のドメイン名には「都道府県型JPドメイン名」という新サービスもぜひ候補に入れたいですね。
みちのくの小京都・秋田県角館にて、国指定の伝統的工芸品である「樺細工」の製造・卸を30数年前から手掛ける冨岡商店の店主。地元の伝統文化を国内外に発信するために、積極的にWebサイトも活用している。
冨岡商店 http://tomioka-shoten.co.jp/ アート&クラフト香月 http://ac-kazuki.jp/
※インタビュー特集の記事内容は2012年9月時点のものです。