いま鳥取県では、『国際まんが博』というイベントを官民一体となって開催しています。ご存じの方もいらっしゃると思いますが、鳥取は水木しげる氏をはじめ、谷口ジロー氏、青山剛昌氏など著名な漫画家を数多くの輩出した地域でもあるんです。『国際まんが博』は約3カ月半にわたって、「国際マンガサミット」など140以上ものイベントを行うプロジェクトですが、官民が一体となった地域振興の取り組みでもあります。
その中心となって動いているのが、私たち「まんが王国」というチームで、県庁の文化観光局の中に設置されています。県内にある温泉、文化施設、食などに加えて、新たに漫画というコンテンツに着目し、観光、新規ビジネス、人材育成などを活性化していこうという試みです。
平たく言えば、『国際まんが博』は漫画を通じた鳥取県のPR活動ですから、広く県内外の人々に知られなければいけません。電波や紙など従来の媒体だけでなく、Webコンテンツにも力を入れたのはそのためです。Webサイトのメリットは即時性があること、より深い情報まで踏み込んで掲載できることです。Webサイトをご覧になっていただければ分かると思うのですが、いわゆる「お役所」が作ったWebサイトには見えないと思います(笑)。その他、Webサイトと連動してFacebookやTwitterなども活用しています。
漫画は既に日本では老若男女から愛されていますが、やはりメインで漫画と親しんでいるのは若者だろうと思うんです。その世代にとって、インターネットはごく当たり前のツールです。私ら世代はちょっと疎い面もあるのですが、インターネットを通じたコミュニケーションは不可欠だな、というのが当初からの考えでした。
Webサイトのドメイン名は「manga-tottori.jp」ですが、ずばり「鳥取×漫画」です。ドメイン名は、さまざまな場に一人歩きしていくものなので、一目で意味が分かるものがふさわしいと思います。現時点ではまだまだ、大半の人は鳥取と漫画を結びつけてイメージしてはいませんよね。だからこそ、なおさらドメイン名で「鳥取×漫画」ということを刷り込んでいく必要もあったわけです。
ドメイン名を取得した当時は、まだ「△△△.tottori.jp」という形のドメイン名サービスがなかったので、「manga」と「tottori」の間にハイフン(-)を入れた形にしましたが、もともと県庁のドメイン名も「pref.tottori.lg.jp」ですし、地域をあずかる役人としては「tottori」という地名を入れるのはごく自然なことだった気がします。いずれにしても、ドメイン名での刷り込みは継続しないと意味がありません。今後、どこまでイメージが浸透するか楽しみですね。
「△△△.tottori.jp」というドメイン名が使えるようになれば、あらゆる場面で「tottori」という地名が露出することになりますから、鳥取県としてもありがたいです。「温泉.tottori.jp」とか「食.tottori.jp」のようにすれば、その県の代表のような見え方になりますから。ただ、そういう名称は人気も高そうなので、発想を広げて他の魅力と掛け合わせてみるのもよさそうですね。
ずいぶん昔は、鳥取=砂丘というイメージしか持たれていなかったようで、「県民は遊牧民なんでしょ?」と言われたこともあったんですよ。街中ぜんぶ砂丘だと思われていたみたいで(笑)。もちろんいまは、インターネットも発達していますし、そんな人いませんけどね。そういう意味では、私たち行政機関も民間企業も、そして個人も、県内にあるバラエティ豊かなコンテンツを「tottori」として発信していけるのは、地域振興という視点から見ても有意義なことなのではないでしょうか。
鳥取県庁に入庁後、文化観光局企画戦略室長、商工労働部経済通商総室長などを歴任。2012年を“まんが王国建国の年”と位置づけ、県庁文化観光局内に新設された「まんが王国」初代官房長に就任。鳥取県のPR活動に邁進中。
まんが王国とっとり http://manga-tottori.jp/
※インタビュー特集の記事内容は2012年9月時点のものです。