「新潟観光コンベンション協会」という名前を見ると、新潟県全体の観光協会、新潟県全体のコンベンションビューローだと思われることが多いのですが、私たちは新潟市の関連団体という位置付けです。つまり、新潟市に観光客を呼び込むための施策や、新潟市で会議やイベントを開催してもらうための誘致を行う組織ということです。
ただ、市だけでは広い範囲からの集客には限界があるのも事実です。そこで、近年では、県内の他の市や、場合によっては他の都道府県内の団体とも連携し、新潟市の広域的な拠点性の中で観光の魅力を表出しようと努力しています。また、観光の面で言うと、これまではいわゆる観光業に対してだけ観光対策を行ってきたわけですが、やはりそれだけでは足りない。農業や漁業、さらにはまち全体で、観光という意識を持ってもらう努力もしています。それが、結果としての地域活性にもなると思うんですね。
新潟のお酒を海外に紹介するだとか、新潟の米農家が海外で稲作を始めるだとか、グローバル化というのは現実として起こってきています。ただ、それと同時に、ローカル意識というのも他方では必要なんだな、というのが私の感覚です。例えば自己紹介をする時に、「日本人です」と言うのか「新潟人です」と言うのかですが、後者の方が伝わる場面も増えてきているんですね。
だからと言って、閉鎖的になるという意味ではないんです。生活圏内への関係性をしっかり引き受けながら、それを広げていくことが、地方の自立にもつながってくると思います。
新潟を地理的に見ると、東北地方なのか、関東地方なのか、北陸地方なのか、非常にあいまいな場所にあるんです。おそらく、新潟の人には「○○地方」という意識はあまりなくて、ただ「新潟」なんです(笑)。だから、もともと県人意識は育ちやすい地域でもあるんです。
「○○地方」の意識がないということは、日本のすぐ下に「新潟」が来るので、「niigata.jp」というのはむしろ自然な並びだと思います。グローバルとローカルのバランスから言えば、インターネットという無限の世界に、「niigata.jp」というローカル性を主張できることは素晴らしいですよね。
私たちのWebサイトのドメイン名は、いまは「nvcb.or.jp」ですが、仮に観光部門を「kanko.niigata.jp」というドメイン名に変更したら、観光にもプラスの影響は出てくると思いますね。おそらく第一印象として「新潟市」ではなく「新潟県の観光」という伝わり方になると思いますが、市内だけ案内する観光の時代は終わっていますし、県内での横の連携が深まるのではないでしょうか。
新潟には、農業分野にも工芸分野にも、インターネットを活用して積極的にコミュニケーションを展開している人々が大勢いるので、「niigata.jp」は有効だと思います。名刺に「niigata.jp」って書いてあると、かっこいい気もしますし(笑)。
インターネットの活用については……まだまだ課題はあります(笑)。Webサイトは、作ることよりもその後それを運用していくことの方が重要ですよね。更新し続けていくこと。それから、Webサイトも観光と同じように、単発ではなく横の展開があってようやく有機的なものになると思います。
私たちのWebサイトも、もっと整理をしなければならないと思っています。同じWebサイト内に、コンベンション部門と観光部門を並列で置いているのですが、本来は目的や役割が異なるんですね。いわば組織概要を説明するページと、観光案内をするページが混在している状態。
組織の名前を変更することは困難ですが、それぞれの分野で別のドメイン名を持つのは、可能性としてはあるのではないでしょうか。例えば「niigata.jp」にドメイン名を変更しても、以前のドメイン名からリダイレクトできるということで、既にWebサイトをお持ちの方にも便利ですね。
行政と民間、市民活動の中間のポジションを活かし、新潟市を起点とした地域主導による観光のあり方を模索。地域と地域、人と人をつなぐ交流から地域の活力を引き出すアクションを展開。特に近年、食を通して地域の風土を紡ぐ食文化創造が大きなテーマ。
新潟観光コンベンション協会 http://www.nvcb.or.jp/
※インタビュー特集の記事内容は2012年9月時点のものです。